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水滸伝の料理
文責はすべて、酒たまねぎや店主の木下隆義にございます。
平成20年6月15日日曜日晴れ ○
午後よりスポーツセンターに行くが、今日は体調、気力ともイマイチ。
高殿馬場にある芳林堂さんにて「中国人の胃袋」などを購入。店に一度寄った後に帰宅。
今日買ってきた「中国人の胃袋」(張競著 バジリコ株式会社刊)は、紹興酒に砂糖とは、自家製の紹興酒に砂糖を添えて、「もし、不味いようだとこの砂糖を入れて飲んでくれ」という意味で贈ったのが始まりであり、それは謙遜しているようにみえて、内心は自信満々の紹興酒だからこそだそうで、それが紹興酒に砂糖という風習だけ我が国に入ってきて、今だにそれを守っている店があるなど、いろいろと面白い事が記されていました。
「天念記念物を食べる」と題したページでは、食べる事には支那人は驚くほどの想像力と行動力を発揮するとして、現在日本在住の著者が、上海で食事した時に、レストランの水槽に泳いでいたカブトガニを食した事を書いていましたが、我が国でも、私が商売をはじめた二二年前はまだ築地の市場には、生きたカブトガニやウミガメのたまごが売られていていました。私は「まじかい。こんなの売ってええのか?」と面白そうでしたが、著者のようにいまいち食う気にもなれず、流石に購入しませんでした。カブトガニは大きいのから小さいのまで売っていましたが、結構高かったように思います。(そういや、香港ではでっかいナポレオンフィッシュがレストランの水槽で泳いでいて食べられるのを待っていたのを思い出しました)
この本にはその他にも、「チャウチャウの寄せ鍋」「黒アリの茶碗蒸し」「蛇のヒレ肉」など面白いというかなんとも言えない料理が出ていました。「食からみた中国の歴史」としてのひとつとして、水滸伝、金瓶梅の中に出てくる料理がいろいろと紹介されているが、水滸伝に普通に書かれている事がどういうわけか書かれていない。
それは人間が人間を食らうという「食人」の事です。
私の部屋に三冊の支那に関する本があります。「中国食人史」(太田龍著 雷韻出版刊)、「食人宴席」(鄭義著 光文社刊)、「戦争の歴史 日本と中国」(黄文雄著 ワック刊)ですが、いずれの本も支那における食人というものについて書かれている箇所があります。
「水滸伝に出てくる食生活はほぼ正確」と書き、宗、明の時代だろうと想像し、その肉料理について調理法法まで推測で詳しく書いているのですから、どうせだったら「食人」についても書いてほしかったです。せめて、水滸伝の舞台になったであろう宗の時代の「食人」について。我国の軍隊が支那人を(わざわざ支那の食べ物である)餃子にして食ったというような発想ができる国の食文化という背景についてもう少し詳しく書いてほしかったです。