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なぜ犯罪者が犠牲者なのか

文責はすべて、酒たまねぎや店主の木下隆義にございます


「なぜ犯罪者が犠牲者なのか」

平成21年3月13日金曜日雨 ×××

 下記はカルデロン一家についての各紙の社説です。

以下引用

  強制退去処分を受けた日本生まれのフィリピン人、カルデロンのり子さんと母親サラさんの仮放免期限が16日に迫った。  先に父親アランさんを強制収容した東京入国管理局は、「両親が自主的に帰国する意思を表明すればのり子さんの在留を認め、表明しなければ3人とも強制送還する」と通知している。入管当局なりの妥協案かもしれないが、脅しとも映る対応を潔しとしない。諸事情を勘案し、一家に在留特別許可を与えるべきケースではないか。

略)

  一家が地域社会に受け入れられている様子は、蕨市議会が在留特別許可を求める意見書を採択し、2万人を超す住民らが法務省への嘆願書に署名したことでも明らかだ。一家が引き続き滞在することが、社会に害を及ぼすとは考えにくい。逆に、 一家が強制送還されれば、日本語教育を受けてきたのり子さんは言葉と文化の壁に直面する。

 出入国管理は厳正に行われるべきだ。が、実務上あいまいな面もあり、毎年1万人近くが日本人の配偶者となったことなどを理由に在留特別許可を受けてもいる。単純労働は認められないのに、実際には来日外国人の労働力を当てにしている職場が少なくない。不法滞在の取り締まりを徹底する態勢が整っているとも言いがたい。のり子さんが教育を受けてきたのも、行政が不法滞在を容認していたからだとも解釈できる。

 一家のように犯罪集団などと無縁に勤労、就学を続ける来日外国人については、不法入国・滞在をいつまでも問題視せず、一定のルールを作って正規に受け入れるべきではないか。国際化時代の社会の要請にも合致しよう。真実の権利関係と違っても一定期間継続した事実があれば、法律効果を認める民法の時効の考え方を援用すればいい。

 善良な市民として長年居住する来日外国人は、在留を認められてしかるべきだ。

 法務省入管局長が81年、衆院法務委員会の答弁で長期滞在について人道的配慮から特別に在留を許可する方向を示唆したことも想起したい。ヨーロッパの国々が、一定期間居住した外国人に在留許可を与える法制度を設けていることも参考にしたい。

 今回、入管当局が「両親の意思表明」にこだわるのは、子どもの権利条約に反して親子を引き裂きたくないからだろうが、同条約が掲げる子どもの利益を最優先とする原則こそ尊重されるべきは言うまでもない。

引用終わり 平成21年3月13日毎日新聞社説

同じく以下引用

 これは政治決断が必要なケースである。不法滞在で東京入国管理局から強制退去処分を受けた埼玉県蕨市のフィリピン人一家が、家族そろって日本にとどまりたいと在留特別許可を求めている問題だ。

 略)

 たしかに不法滞在者には厳格な対応が欠かせない。しかしこの一家の場合、両親は地域社会に溶け込んで平穏に暮らしてきた。のり子さんもすっかり日本人として育ち、級友に囲まれて学校生活を送っている。

 過去には中学生になった子どもを持つ家族には在留を認めた例もある。しかし法務省や入管当局は、一家に退去命令が出たのがのり子さんの中学入学前だから特別扱いはできないという。前例に固執した、あまりにもかたくなな姿勢ではないか。

 欧州諸国などでは、不法滞在でも平穏に過ごして子どもを育てている場合は柔軟に対応している。それだけに今回の問題には海外メディアも関心を示し、国連の人権理事会が調査を進めるなど国際社会も注目していることを忘れてはならない。

 不法滞在の取り締まりと例外との兼ね合いは難しいテーマだ。制度改革や運用の改善は今後の課題だが、今回はまず人道的な立場から一家の在留を許可すべきである。これを認めたからといって、入管行政の根本が揺らぐわけではないだろう。

 もう時間がない。ここは政治家の出番である。森英介法相、そして麻生太郎首相は一家が日本に残れるよう決断を下してほしい。 平成21年3月13日日本経済新聞社説

以下引用

 略)

 どこにでもいそうな3人家族。フィリピン人のカルデロン一家である。

 略)

 法務省の姿勢はこうだ。極めて悪質な不正入国だ。十数年滞在した事実はあるが、ほかの不法滞在者への影響を考えると厳格な処分で臨むべきだ。裁判所も退去処分を認めている。

 法律論はその通りだ。だが、だからといって子どもの幸福をないがしろにしていいわけはない。

 彼女は日本で生まれ育ち、日本語しか分からない。「母国は日本。家族とも友だちとも離れたくない」という。思春期のごく普通の女の子だ。

 同じようなケースで、子どもが中学生以上だった場合には在留が認められたことがある。

「処分が出た時に長女は小学生。中学生になったのは訴訟で争ったからで、すぐに帰国した人との公平を欠く」という法務省の説明に、説得力はあるだろうか。

 法務省も、近所の親類に預けることを前提に長女だけに在留許可を出し、両親が会いに来るときは再入国を認めるとの案も示した。そこまで配慮できるのなら、森法相はいっそ一家全員に在留特別許可は出せないものか。

 彼女の望みをかなえることが、日本社会に不利益を及ぼすとは思えない。

 長女の学校の友人や地域住民らからは、一家の残留を求める嘆願書が約2万人分も集まっているという。蕨市議会は「長女の成長と学習を保障する見地から一家の在留特別許可を求める」との意見書を採択した。

 一家はすでに地域社会を構成する隣人として認められ、職場や地域に十分貢献している。一人娘は将来、日本を支える一人になってくれるはずだ。

 日本に不法に残留する外国人は約11万人とされる。日本社会に溶け込み、いまさら帰国しても生計が立たない人々は多いだろう。在留特別許可も年1万件前後認められている。

 日本社会ではすでに外国人が大きな担い手になっている。今回のようなケースはこれからも起きるだろう。いまの入管行政でそれに対応できるのか。社会の一員として認めるべき外国人は速やかに救済する。そんな審査システムをつくることが検討されていい。 平成21年3月12日朝日新聞社説

以下引用

【主張】フィリピン人一家 同情と法の運用は別問題

略)

 母親が買い物途中に警官の職務質問を受けて逮捕され、裁判でも執行猶予付きの有罪となった。一家は強制退去処分の取り消しを求める訴訟を起こしたが、裁判所はこれを認めず、昨年9月に最高裁で一家の退去処分が確定した。

 その後、一家は再三にわたり、在留の特別許可を東京入管に申請している。そのつど、同入管は、のり子さんが日本育ちであることなど、人道的な面を考慮して、申請のたびに1カ月程度の短期間の滞在許可を出してきた。

 異例の措置を取ってきたわけだが、法務省は13日までに両親が自主的に帰国する意思を示さなければ、17日に家族全員を強制送還すると通知した。その一方で、森英介法相は、のり子さんのみの在留を認め、両親はいったん帰国し、日本に1人で残ったのり子さんに会うために短期間の再入国許可を出すと表明するなど、最大限の配慮も見せている

のり子さんは「3人一緒に日本に残りたい」と涙ながらに訴える。その気持ちは、痛いほど理解できる。同情もしたい。のり子さんには何の責任もない。

 しかし、両親は偽造旅券という悪質な手口で入国した。日本に不法入国する外国人は、年間約11万人いるといわれる。年々減少はしているが、日本は欧米に比べまだまだ、入国管理が緩やかだとする指摘もある。

 温情を優先するあまり、あしき前例をつくるのはまた問題だ。違法を見逃した場合、それがアリの一穴となり犯罪を呼び込むことにもなりかねない。

引用終わり

平成21年3月13日産經新聞社説

 いかがでしょう。

 各紙はヨーロッパの例などを出しているが、現在ヨーロッパでは不法移民が問題化していることを指摘していない。

朝日新聞も日経新聞も醜いが、一番醜い社説は下記のように書く毎日新聞だろうと思います。

「のり子さんが教育を受けてきたのも、行政が不法滞在を容認していたからだとも解釈できる。  一家のように犯罪集団などと無縁に勤労、就学を続ける来日外国人については、不法入国・滞在をいつまでも問題視せず、一定のルールを作って正規に受け入れるべきではないか。国際化時代の社会の要請にも合致しよう。真実の権利関係と違っても一定期間継続した事実があれば、法律効果を認める民法の時効の考え方を援用すればいい。 善良な市民として長年居住する来日外国人は、在留を認められてしかるべきだ。」

 と、まで書いている。

 現在、我が国が進めている現行の外国人登録に替わる新たな外国人在留管理制度法案に対して、差別なき共生社会実現に逆行などとほざいて反対している朝鮮人犯罪者擁護団体である民団などと同じ姿勢です。

  今回のこれらの社説の比較においては、産經新聞がごく普通の事を書いていると思うのは私だけだろうか。

 本当に日本語だけしかわからないのだろうか。ご両親は家庭内で日本語だけで会話していたのだろうか?

 わたしは、「なぜ犯罪者が犠牲者なのか」という佐藤貴彦氏の下記の文章を思い出しました。

 <日本のジャーナリズムの明らかな特徴は、「国家権力」への激しい憎悪と、その「犠牲者」への盲目的崇拝である。

このような心理構造から言えば、本来加害者であるはずの犯罪者の方が、逆に「国家権力」の「犠牲者」ということになってしまう。>

「本当は恐ろしい『平和』と『人権』というファシズム」(佐藤貴彦 夏目書房 一九九九年刊)p一〇〇より

 今日は金曜日だというのにメチャヒマ。バンブーさん来店。十一時ごろYさん来店。

 営業終了後、酒を持って中野の「石松」さんでFさんと合流し、朝までドンチャン。記憶は完全になし。サル・・・・・

 

 


 

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