「台湾人と日本精神」絶版に見る生長の家の変質と谷口雅宣

9月14日水曜日曇り△
下記は「生長の家」が参議院選の前に出した声明です。

<今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針
「与党とその候補者を支持しない」
来る7月の参議院選挙を目前に控え、当教団は、安倍晋三首相の政治姿勢に対して明確な「反対」の意思を表明するために、「与党とその候補者を支持しない」ことを6月8日、本部の方針として決定し、全国の会員・信徒に周知することにしました。その理由は、安倍政権は民主政治の根幹をなす立憲主義を軽視し、福島第一原発事故の惨禍を省みずに原発再稼働を強行し、海外に向かっては緊張を高め、原発の技術輸出に注力するなど、私たちの信仰や信念と相容れない政策や政治運営を行ってきたからです。

戦後の一時期、東西冷戦下で国内が政治的に左右に分裂して社会的混乱に陥っている時、当教団の創始者、谷口雅春先生は、その混乱の根源には日本国憲法があると考えられ、大日本帝国憲法の復元改正を繰り返し主張されました。そして、その実現のために、当教団は生長の家政治連合(生政連)を結成(1964年)して、全組織をあげて選挙活動に取り組んだ時代がありました。しかし、やがて純粋な信仰にもとづく宗教運動が政治運動に従属する弊害が現れ、選挙制度の変更(比例代表制の導入)によって、政党と支持団体との力関係が逆転したことを契機に、1983年に生政連の活動を停止しました。それ以降、当教団は組織としては政治から離れ、宗教本来の信仰の純粋性を護るために、教勢の拡大に力を注いできました。

この間、私たちは、第二代総裁の谷口清超先生や谷口雅宣現総裁の指導にもとづき、時間をかけて教団の運動のあり方や歴史認識を見直し、間違いは正すとともに、時代の変化や要請に応えながら運動の形態と方法を変えてきました。特に、世界平和の実現など社会を改革する方法については、明治憲法の復元は言うに及ばず、現憲法の改正などを含め、教団が政治的力を持つことで“上から行う”のではなく、国民一人一人が“神の子”としての自覚をもち、それを実生活の中で表現し、良心にしたがって生きること。政治的には、自己利益の追求ではなく、良心(神の御心)の命ずることを、「意見表明」や「投票」などの民主的ルールにしたがって“下から行う”ことを推進してきました。

私たちは、社会の変革は、信徒一人一人が正しい行動を“下から”積み上げていくことで実現可能と考え、実践しています。その代表的なものは、地球環境問題への真剣な取り組みです。人間の環境破壊は、今日、深刻な気候変動を引き起こし、自然災害の頻発や、食糧や資源の枯渇、それにともなう国家間の奪い合いや国際紛争の原因となっています。この問題は、資源・エネルギーの消費を増やす経済発展によっては解決せず、各個人の信念とライフスタイルの変革が必要です。私たちはそれを実行することで、世界平和に貢献する道を選びました。

具体的には、私たちは宗教団体として初の環境マネージメントシステムISO14001の認証取得(2001年)をして、それを全国66の拠点に及ぼしました。また、莫大なエネルギーを消費する大都会・東京を離れ、国際本部の事務所を山梨県北杜市に移転し、そこに日本初のゼロ・エネルギー・ビル“森の中のオフィス”を建設して(2013年)、地球温暖化の最大の原因である二酸化炭素を排出しない業務と生活を実現しています。最近では、この生活法を全国に拡大する一助として、信徒からの募金により京都府城陽市にメガソーラー発電所(1700kW)を、福島県西白河郡西郷村に大規模ソーラー発電所(770kW)を建設し、稼働させています。これらの運動は、創始者・谷口雅春先生が立教当初から唱導してきた「天地の万物に感謝せよ」(大調和の神示)という教えの現代的展開であり、人類だけの幸福を追求してきた現代生活への反省にもとづくものです。

ところが安倍政権は、旧態依然たる経済発展至上主義を掲げるだけでなく、一内閣による憲法解釈の変更で「集団的自衛権」を行使できるとする”解釈改憲〟を強行し、国会での優勢を利用して11本の安全保障関連法案を一気に可決しました。これは、同政権の古い歴史認識に鑑みて、中国や韓国などの周辺諸国との軋轢を増し、平和共存の道から遠ざかる可能性を生んでいます。また、同政権は、民主政治が機能不全に陥った時代の日本社会を美化するような主張を行い、真実の報道によって政治をチェックすべき報道機関に対しては、政権に有利な方向に圧力を加える一方で、教科書の選定に深く介入するなど、国民の世論形成や青少年の思想形成にじわじわと影響力を及ぼしつつあります。

最近、安倍政権を陰で支える右翼組織の実態を追求する『日本会議の研究』(菅野完、扶桑社刊)という書籍が出版され、大きな反響を呼んでいます。同書によると、安倍政権の背後には「日本会議」という元生長の家信者たちが深く関与する政治組織があり、現在の閣僚の8割が日本会議国会議員懇談会に所属しているといいます。これが真実であれば、創価学会を母体とする公明党以上に、同会議は安倍首相の政権運営に強大な影響を及ぼしている可能性があります。事実、同会議の主張と目的は、憲法改正をはじめとする安倍政権の右傾路線とほとんど変わらないことが、同書では浮き彫りにされています。当教団では、元生長の家信者たちが、冷戦後の現代でも、冷戦時代に創始者によって説かれ、すでに歴史的役割を終わった主張に固執して、同書にあるような隠密的活動をおこなっていることに対し、誠に慚愧に耐えない思いを抱くものです。先に述べたとおり、日本会議の主張する政治路線は、生長の家の現在の信念と方法とはまったく異質のものであり、はっきり言えば時代錯誤的です。彼らの主張は、「宗教運動は時代の制約下にある」という事実を頑強に認めず、古い政治論を金科玉条とした狭隘なイデオロギーに陥っています。宗教的な観点から言えば“原理主義”と呼ぶべきものです。私たちは、この“原理主義”が世界の宗教の中でテロや戦争を引き起こしてきたという事実を重く捉え、彼らの主張が現政権に強い影響を与えているとの同書の訴えを知り、遺憾の想いと強い危惧を感じるものです。

当教団は、生政連の活動停止以来、選挙を組織的に行うなどの政治活動を一切行ってきませんでした。しかし、政治に触れる問題に関して何も主張してこなかったのではなく、谷口雅宣現総裁は、ブログや月刊誌を通して“脱原発”や“自然エネルギー立国”を訴え、また日米の外交政策を分析して、それに異を唱えたり、注文をつけたりしてきました。また、昨年は憲法を軽視する安保法案に反対する立場を明確に表明されました。

私たちは今回、わが国の総理大臣が、本教団の元信者の誤った政治理念と時代認識に強く影響されていることを知り、彼らを説得できなかった責任を感じるとともに、日本を再び間違った道へ進ませないために、安倍政権の政治姿勢に対して明確に「反対」の意思を表明します。この目的のため、本教団は今夏の参院選においては「与党とその候補者を支持しない」との決定を行い、ここに会員・信徒への指針として周知を訴えるものです。合掌。

2016年6月9日

宗教法人「生長の家」>
http://www.jp.seicho-no-ie.org/news/sni_news_20160609.html

この生長の家の変質については、多くの方が指摘されておられますが、その中でも大きな変質と指摘される一つが「台湾人と日本精神」絶版、回収ではないかと思います。

親日家というより日本系台湾人といったほうがいい蔡 焜燦氏の著書「台湾人と日本精神」を系列出版社の日本教文社から出していたのですが、発行元である日本教文社が十五年ほど前に一方的に絶版、回収しました。三代目である谷口雅宣はわざわざ自分のホームページでそのことに触れていますから、三代目の意向が働いたことは間違いないと思います。蔡さんは結局契約不履行と名誉毀損で訴えを起こし、その後、小学館が復刊させました。私の手元にあるのは小学館版でしたが、その平成十二年に発行された日本教文社版も古本屋さんで入手できました。

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私は過去に平成二十一年十月十五日の日記でこの生長の家の変質について産経新聞の記事を元にして書いたことがございます。
以下引用
<蔡焜燦氏の日本精神と「成長の家」三代め
平成21年10月15日木曜日晴れ ○
<かっての祖国・日本の若者たちよ、あなた方の先人たちは実に立派であり、いまも台湾の地で「日本精神」が崇敬されている事実の語るところを君達の後世に伝えられよ。
そして、自国の歴史を正当に評価し、自信と誇りを持って堂々と胸を張って未来に雄々しく羽ばたいてほしい。
「日本人よ目覚めよ、そして自分の国を愛しなさい!」
これは、元日本人からあなた方に送る激励のメッセージである>

このようなあとがきが書かれているのは、何度か日記にも掲載させていただいた「台湾人と日本精神」(蔡焜燦 小学館文庫 平成十三年刊)です。
著者の蔡焜燦氏は台湾に生まれ、昭和二十年に岐阜陸軍整備学校奈良教育隊に入校。終戦後、台湾にて実業界において成功された方です。
この蔡氏の著書は、日本教文社より平成十二年七月に出版され、三万部の売り上げがあったのにもかかわらず、
日本統治時代を肯定的に描き、「日本人よ胸を張りなさい」と主張していることが、台湾での外省人と本省人の対立を激化させる恐れがあるという判断で、発売一年たらずの平成十三年三月に一方的に販売を停止し、回収する一方、著者の蔡氏との間の出版契約を解除します。
「(販売中止の)理由はこの書が台湾に於ける政治問題を扱っているため、当社並びに宗教法人「生長の家」の主張や見解が、本書の主張や見解と同じであるような印象を広く読者に与えたためです。当社と生長の家はいかなる政治運動を支援するものではありません
(平成十三年三月十四日産經新聞に掲載された日本教文社による「謹告」)
「此の本は最近、台湾で政争の具となりつつある。(台湾親日派からの)反発など考えられるが、あらゆる人や民族の調和を目指す当社の理念にかんがみ、販売中止を決めた。外部から圧力があったわけではない」
(同じく平成十三年三月十五日産經新聞に掲載された日本教文社永井光延第二編集部長の談話)
このように、日本人を良く書くのも、支那人を悪く書くのは許せないという「言い訳」により日本教文社は、蔡氏の著書を絶版にしたわけですが、その理由として、新田均氏は
「販売中止の直接の引き金は、平成十三年一月、香港で生長の家の伝道を担当している中国人講師から、蔡焜燦さんの本が「日本精神を讃えながら中国人の悪口を言い、中国の暗黒面を強調し、台湾独立を宣伝している」という抗議の電子メールが雅宣氏(木下注 谷口雅宣氏生長の家三代目)のもとに届いたことにあったようです。」
と「日本を貶める人々」(PHP研究所 平成十六年刊 p百七十八)に書いています。
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そして、新田氏は続けて、<この抗議を受け入れた時点で生長の家は一つの政治判断をしたわけですから、「生長の家は、政治活動とは一線を画した国際平和信仰運動という純粋な宗教活動を推進」することから外れていると批判されても仕方ないはずです。しかも販売中止の一つとした台灣での政治問題化伝々という話>と書かれています。

蔡焜燦氏は

「どうしても出版を続けたくないというのなら、告知などせず静かに絶版にしてほしかった。日本教文社にもそうお願いした。それをなぜわざわざ告知したのか理解出来ないが、善意で協力してくれた日本教文社の方々のことを思うと、今は何も言いたくない気持ちだ」
と、同じ日(平成十三年三月十五日)の産經新聞に掲載された談話です。
なぜ告知したか。誰に対してか。先の新田氏の言葉を裏付けるものだと思います。
中共支那に媚びる今の「生長の家」の姿を初代の谷口雅晴氏はどう思っているのでしょう。
下記は蔡焜燦氏の談話の結びです。
「谷口雅晴先生は天で泣いておられることと思う。私は十数年前、谷口先生の『国を愛し、先祖を敬い、全てに感謝せよ』という教えを知り、共感し、いらいその教えを守って来た。その生長の家の日本教文社からこのような扱いを受けた。とても悲しい」

いくら初代が立派でも、それを引き継いだ人間が腐っていたら、どんな組織でも腐る。
それは宗教でも同じです。
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アホらし
ドンチャン。

一応記憶あり。
猿よりマシ。

 

下記のリンクも是非お読みください。

天の谷口雅春先生は泣いておられる (上)
http://hikarinoshingun.giri.jp/15-gohou-no-undou/1504saikonsan-si-saiban/H15.08masaharu-sensei-wa-naiteorareru-jou.htm
天の谷口雅春先生は泣いておられる (中)
http://hikarinoshingun.giri.jp/15-gohou-no-undou/1504saikonsan-si-saiban/H15.09masaharu-sensei-wa-naiteorareru-chu.htm
天の谷口雅春先生は泣いておられる (下)
http://hikarinoshingun.giri.jp/15-gohou-no-undou/1504saikonsan-si-saiban/H15.10masaharu-sensei-wa-naiteorarerui-ge.htm